2017年春発売の兎屋コレクションカラー「せいじ」が人気色となっています。色がきれいに出ています。でもこれは偶然でたまたま良い色になったのです。色とはそんなものだと思っています。
新色を作る場合、製紙メーカーに色見本を提示し、手漉きサンプルを作って貰い、確認。気に食わなければまたサンプル提示をお願いし、再度確認。これを何度か繰り返しているうちに、ピタリ?と合う時もあるし、妥協する場合もあります。まぁ後者が多いです。そして実機で抄造された紙を紙バンドに加工するのですが、ここで色の印象が大きく変わります。変わりにくい色もありますが込み入った中間色はまず変わります。イメージから作るカラー紙バンドは、色の実現が難しいです。

しかし、色じゃないところ・・・紙製品たる紙バンド素材の品質向上については、会社の方向性、工場の雰囲気、関わる人達の努力と工夫、そしてある程度の誇りと楽天性でかなりコントロール出来るのだという事に気が付いてもいます。
「せいじ」の色が良いから人気が出たのか?安価な100円ショップ紙バンドで、「せいじ」と全く同じ色が有れば人気なのか????
兎屋のコレクションカラー紙バンドファンの方は「せいじ」の色と品質の両方を見てくれているのではないかと思っています。色だけではなく、紙バンド素材の表情、作る時の気持ちよさ、完成品の手に吸い付くような手触り、それらを総合して「せいじ」が良いね!とおっしゃってくれていると思うようにしていますし、そうありたいです。

実はこの「せいじ」兎屋コレクションカラーの中でも過去最高の出来栄えだと思っています。愛媛県の紙加工会社さんの技術がグンと上がった事が大きいのですが、その厳しい加工条件に耐えられる強靭な高知県産原紙の出現も大いに寄与しています。兎屋コレクションカラーの価格にはちゃんと意味があるのです。
「せいじ」の紙バンド加工が終了した後の事ですが、何度も紙加工会社の工場責任者の方から電話を頂いていました。いつもの事で兎屋のお客さんの反応が気になるのです。これは責任感です。しかし「せいじ」の時は違いました。その時その方がおっしゃった言葉。
「佐野さん いいでしょう」
長い間兎屋紙バンドの品質向上に取り組んで下さった方だけに響きました。沢山失敗しましたからねぇ・・・・・・