♯23 コレクションカラー「くろ」

カラー原紙の色、そのカラー(色)の元はほとんど「染料」です。もちろん「顔料」でパルプを染めてカラー原紙を作る事も出来ますが、一般的に「顔料」は高額なので、紙パルプの世界では染色を使う事が多いのです。

染料にも高価~安価があり、少年漫画雑誌の本文色更紙に使う染料は、一週間から一か月の間、色が保たれて居ればいいので安価な染料を使います。その為、漫画雑誌用の色更紙は陽に照らすとあっという間に色が抜けます。しかし手芸用紙バンドではそんなに早く色褪せては困るので、褪色の少ない染料を使うようにしています。

実は「くろ」の染料はありません。他の色なら染料と似た色の顔料とがありますが「くろ」の染料は無いので、カラー紙バンドの世界でも「クロ」は顔料で染められているという事です。その為、紙の世界では「くろ」の紙は値段が高く設定されるのが一般的です。

この「くろ」ですが、紙よって色が違います。材料の顔料はほぼ同じ製品が流通しているはずですが、染められた紙によって色が違い、一般的には青味の掛かった「クロ」となっています。この事は兎屋を始めて数年して気が付きました。

そこで製紙メーカーさんに「もっと真っ黒なクロが欲しいけど」とお願いしましたが、「現行の顔料ではこの色しか出ないのです」と言われたのです。そこで考えたのが、以前兎屋で販売していた「すみ K‐1699」でした。染料を工夫して墨のような色を再現していました。

兎屋コレクションカラーの「くろ K‐1513」と、カラー紙バンドの「クロ 03」を比較すると「くろ K‐1513」に比べ、「クロ 03」の方が青味?ムラサキ色?がかっています。たぶんこの系統の「クロ」が一般的なのだと思います。じゃあ、なぜ同じような顔料を使っているのに「くろ K‐1513」が黒っぽいのか・・・・?ここがミソなんですよ。

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