原紙や紙製品に携わって仕事をしている人ならもちろん、紙業界とはなんの関わりのない人でも、この国に住んでいれば「サイセイシ」「再生紙」という言葉に触れた事があると思います。でもほとんどの人が「再生紙」の事を説明できません。試しに、再生紙に詳しそうな方?に質問して見るといいでしょう。
質問1:「100%再生紙ってなんですか?」
なにかしらご返事を頂けますので、続けて質問します。
質問2:「再生紙100%の中に古紙は何%入っていますか?」
たぶんこの辺りで怪しくなり、たまたま説明して貰ったとしてもその方から正確な数値は教えて貰えないと思います。と、言うか説明する方もわかっていない場合が多いです。つまり、あやふやなんです「再生紙」って・・・・

※このように古紙の配合率が明らかにされている事が基本です。でも本当に100%?かな?
さて、「再生紙」が気になる方は、森林保護に興味がある方か、商売熱心な方です。その為、自分が使う紙製品・自分が購入する紙製品には自然に優しい(はず)の古紙が沢山入っていて欲しい、出来れば100%の古紙が使われていて欲しいとなり、実際どのくらい使用されているか?が気になるのです。そして購入した商品が「再生紙100%」と聞くと、うれしくなるのです。でもその様な方に「その100%の再生紙には古紙が30%しか入っていませんよ」と言うと・・・・えっ?「中には古紙が10%しか使われていなくても再生紙というところもありますよ」と言うと・・・・??!となります。
私も「再生紙」の説明をする場合があります。特に2008年、年賀状に端を発した大手製紙メーカーの再生紙率偽装問題以降は特に気を配っています。あの頃は(やっぱりな)と思っていました。
再生紙で安心してはいけません。大手製紙メーカーの原紙や、しっかりした紙屋さん、ちゃんとした紙製品メーカーの場合は、「この再生紙には古紙が〇〇%使われています」と言うような表示がありますが、少ないです。

※この表示は古紙の配合率(%)の表示です。でも一般的にはあまり見る事はないですね。
兎屋も紙製品を扱って仕事をしています。しかし兎屋紙バンドに再生紙を使っていますと言った事はありません。それよりも手芸に適した紙バンドを作る事を一番に考えています。紙バンド手芸は作って楽しむ手芸ですからね。
※因みに日本は古紙混入率の高い紙が多い国です。しかも(ここ大事)古紙入り原紙を使った紙製品の品質が良いばかりではなく、その処理能力も高いのです。これは誇れることです。
しかし原紙ユーザー(新聞社・出版社・印刷会社・包装製品会社・紙加工会社などなど)からのリクエストの量と質が半端ないので、確保に無理のある安定した古紙を使いながら、しかも必要以上の品質で紙を抄いています。これは逆に薬品の量が多くなったり、使用電力が増えたりの弊害も生んでいますが、製紙会社や紙販売会社は立場が弱いのであまり主張できません。ここらへんが紙業界の辛い所です。
※再生紙をあまり正面からとらえると迷走し、折角の努力は報いられず、最後には叩かれるのがオチ。・・・・と言う事が多いと思っています。サイセイシはリスク(大)なのです。