静岡県へ引っ越した昨年(平成26年)からまた本を読み始めています。(前回このブログに書いたのは幕府歩兵隊 野口武彦 著でした)20~30代頃手当り次第に読んでいた本たち(ほとんど文庫本か新書版)がやっかいな荷物となっていたのを引っ越し時に再確認させられ、もしこのまま死んでしまったら残った家族は困るだろうと思い、じゃあ最後にもう一度読み返しつつ順に破棄しようという事にしたのです。
なので20~30代に読んだきり20~30年振りに読む本ばかりで、(あれっ?こんな本だったっけ?)とかという場面も多く、年を経てからの読後感は20~30代とは全く違う事に気が付き面白く感じています。

で、昨日読み終えたのが「赤い人 吉村昭」です。前回読んだのは独身時代の25~6歳の頃、大阪市天王寺区上本町4丁目の渋いアパートに住んでいた時、NHKドラマ「破獄」を見て著者の吉村昭氏の事を知り、立て続けに吉村作品を読んでいた頃に見つけた本です。

「破獄」は有名な脱走犯にスポットを当てた本ですが、「赤い人」は明治初期の北海道石狩国樺戸郡に作られた月形樺戸集治監の成り立ちと、そこに押送された囚人と看守たちとの終わりのない戦いが延々これでもか、と書かれています。
かなりハードな内容で30年振りに読み続けながら(こんな内容だったっけ?)と何度も思ったものです。若い頃にはあまりショックな記憶はなかったけれど・・・・
大阪転勤が終わり東京へ戻り、結婚して転職して富士宮市へ引っ越して数年経った頃、仲間と北海道ツーリングした際に月形町 の行刑資料館(現 月形樺戸博物館 北海道樺戸郡月形町1219番地)へ行った事があります。普通の人は北海道観光やツーリングでは行かない所ですが、「赤い人」を読んだことで月形町の事を知り、調べてみたところ資料館がありますという事だったので、何も知らない友達のSちゃんを連れて行ったのです。でも新撰組好きのSちゃんは北海道の月形町にあの永倉新八が住んでいた事に感激していました。

さてこの「赤い人 吉村昭著」内容はきついのですが、明治時代の影の歴史や関わった人達など丁寧に書かれています。北海道の好きな私は北海道の広い道や鉄道を見る度に建設に関わった囚人やその後の「タコ労働者」の事を思い出します。
※タコ労働者については「常紋トンネル 朝日文庫」に詳しく書かれています。
私には想像もつかない厳しい自然の原野森林沼地に追い立てられ、冬でもはだしのわらじ履きの長時間強制労働と暴力と劣悪な環境の中で信じられないほどの犠牲を出しながら建設された道や農地は「赤い人」たちによって作られて行った事をこの本で知ったのでした。