昨日近所のおばあさんが私を呼び止め近寄って来ました。そして「イチジクあげるよ」と言いながら、沢山のイチジクをくれました。イチジクには思い出があります。

子供の頃は愛媛県宇和島市に住んでいて、幼稚園生の年少の頃から小学校6年まで朝日町2丁目のI幼稚園の中に家族で住んでいました。幼稚園の中に住んでいる?と聞くと何故って思われかもしれませんが、I幼稚園は母の姉達が作った幼稚園で、その関係で母も保母として働いていていました。なのでいろいろ事情も重なって、幼稚園と屋根続きの住居部分に私たち家族が住んでいたと言う訳です。今から考えると、やっぱり不思議な環境でしたが、広い運動場も、遊具も、各部屋も、おもちゃも使いたい放題で、子供心に楽しい時代を過ごしていました。
幼稚園は大体午後早めに終わりますし、日曜祝日や春夏冬の休みもちゃんとあります。と言う事は、休みの時は私と妹の貸し切りと言う事です。隔離された幼稚園の中を遊びまわっていた子供の頃の記憶は今でもはっきり思い出せますし、その頃の風景や体験が今でも影響しています。例えばイチジク・・・
幼稚園の運動場には花壇が有るし樹木も植えられています。私が一番好きな木はクスノキですが、「楠」との出会いも幼稚園の運動場でした。で、イチジクの木は運動場の一番端の奥の日当たりの悪い所にあり、そのあたりはいつもジメジメして居ました。大きなイチジクの木は陰気で、葉っぱはザラザラとした大きな葉、切り口から白い樹液が出ます。東洋的な考え方に陰陽があって、どんな物にも陰陽を定めていますが、イチジクの木は「陰」と言う事を後年知った時すぐに納得しました。
イチジクの木は秋になると実を付けます。夏ごろから実が出来、はじめは緑の固い実ですが、秋になると大きく色づき、甘い香りが漂います。あまり手入れをしていないイチジクの木なのに毎年たくさんの実をならせるので、熟した実はボトボト下に落ちて熟れて行きます。きっと環境と土壌が合っていたのでしょう。甘い香りをさせながら、そこらじゅうに落ちているイチジクの実を狙って、大きなスズメバチがたくさん寄って来ます。今から思うと幼稚園的にヤバイんじゃないの?と思いますが、当時はあまりそのような事には気がつかなかったようです。ただイチジクの下に在った、遊具(長い丸太のブランコ)は大変な状態になっていましたけどね。因みに今はそのイチジクの木はありません。
と暗いイメージのイチジクですが、これが食べると実にうまい。子供の頃は熟したイチジクを自由に採って冷蔵庫で冷やして食べていました。今回頂いたイチジクは、どちらかと言うと小ぶりです。幼稚園で生っていたイチジクは大きくて、皮も分厚く剥きやすかったです。ある年、大量のイチジクに困った母親が、イチジクジャムを作った事がありました。味はイチゴに似た味でした。
そう言えば、まだ若くて固いイチジクの実を(緑色の)大量にもぎ取って、友達とぶつけ合いをしているのを父親に見つけられ、こっぴどく叱られた事があります。最近は見直されつつあるイチジクですが、今までは果物屋さんでも端の方にちょっと置いているだけでした。旬が短い事や産地でもそんなに作っていない事も有ったのでしょうが、熟したイチジクはちょっとオツな味がします。どうぞお試しあれ。