兎屋に紙流通の関わっていないわけ 2008

紙バンドが出来るまでにはいくつもの工程があり、紙加工業の中でも工程の多い部類です。印刷や製本、段ボール製造、紙器製造、製袋、家庭紙、特殊紙関係・・・・など、いろんな業種に紙は関わっていますが、その大まかな流れはどれも同じです。まず、①紙を準備し(製紙)、②紙を加工に適した寸法に切り(前準備)、 ③それらに加工を施し(紙加工)、④使用に適した形状に整え(仕上げ)、在庫して出荷という流れが大まかなところです。このうち③の工程数が多いほど、複雑になればなるほど、難しい紙加工となるわけで、一たび加工に不具合が発生した時は、加工屋さんの腕が問われます。

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加工現場が滞るという事は、その仕事に関わる様々な人達が大迷惑を受けるので、加工屋さんは現場で大変ですが、実は加工屋さんよりも真っ青になるのが、紙屋です。加工屋さんの意識としては、加工出来ない紙を持って来るのが悪いという考えがあり、それは道理です。なので問題が起こった時怒ってはいますが、意外に余裕をかましています。一方、メーカーサイドも意外に余裕をかましている事が多く、一番大変なのは紙屋さんです。私も23歳から32歳まで小さな代理店で紙の営業をしていましたが、紙屋の営業の半分はクレーム対策でした。紙屋って、紙の製造に関わって無いし、加工現場にも関わっていないので、紙に対して責任の持ちようがないのですが、こういう時は全責任を負うという位置にいます。これが流通の悲しいところですし、おいしいところでもありました・・・・・(今はあまりおいしい事はないです)

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加工現場が滞るという事は、実はもう一つ大きな事があります。これが今回の話のキモです。紙製品の良し悪しはどこまで行っても「紙」の性能に関わって来ます。なので紙加工屋さんで問題が起きるほとんどの原因は「紙」にあります。加工がうまくいかないと、加工品(製品)の品質も悪くなります。兎屋を起して数年に立ちますが、私の仕事の半分は実は紙屋の仕事です。しかもフリーで動いているので、サラリーマン時代のような動きにくさはなく、製紙さんの気持ちも、加工屋さんの意識もよくわかった上で、どうすれば気持ちよく紙バンドが製造できるか?の一点に絞って判断して来ました。加工現場がスムーズにいけば、紙バンドの品質も当然良くなりますからね。だから、私は兎屋の仕事に紙流通を入れたくなかったのです。紙屋さんはなかなか力を発揮できない位置にあるのですから。

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この秋もいよいよ紙バンド製造がはじまります。思えばいろんな事がありました・・・・。今でこそ言えますが、遠くに出張している時に私の携帯電話に加工会社の社長さんから電話が入り「・・・・紙が全然だめで使えませんよ、まだ沢山残っていますが、まだ加工を続けますか?・・・・・」と、こう言う時って私は意外に冷静なので、すぐに「わかりました、その紙は全部だめという事で動きますから、別の仕事に掛かってください」と言いながらも、頭の中で損害を計算していました(笑)

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紙が悪くても理由は判っているし、紙を加工する会社さんとの信頼関係や、紙関係の仲間達の力が有ったので、絶対に切り抜ける自信も有りましたし、このままで済まないぞという気持ちもありました。そしてやっと1年前に紙の壁を越える事が出来たのでした。今回もちゃんとお楽しみ新色を準備しています。10月中旬には製造にかかりますので、どうぞお楽しみに・・・・。

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因みに、紙は良いけど紙バンドが悪いというのは・・・・・問題外です。