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再生紙偽装:チェック体制厳格化が課題 製紙連最終報告
日本製紙連合会が2日発表した再生紙偽装の再発防止に向けた最終報告書は、古紙配合率の明記を盛り込むなど一定の成果はあった。しかし、消費者の混乱を招く原因になった「配合率が何%以上なら再生紙なのか」という定義は不明確なままだ。さらに製紙会社が表示する配合率も、工場内の記録でしかチェックできず、抜本策とは言い難い内容となった。最終報告書によると、「再生紙と表示して販売する場合は、古紙パルプ配合率を何%以上と表示する」と定め、当初課題に上がっていた「再生紙」の定義は見送った。たとえ1%でも数値を明記すれば「再生紙」として販売は可能となる。製紙連は「年賀はがきを扱う日本郵政や、製紙会社から仕入れた紙を加工する文具メーカーなどが『再生紙』という言葉を使っており、製紙連として定義できない。せめて数値の表示を呼びかける」と説明したが、定義があいまいなままでは、消費者の混乱は解消できない。また、取引先企業による製紙工場への立ち入り検査の実効性も課題だ。古紙配合率は紙製品を科学的に分析しても特定できない。このため、古紙パルプの使用量をはじめ、製紙連が定めたチェック項目を、取引企業が検証することで偽装を防ぐ仕組みとした。製紙連の梅村美明理事長は同日の会見で、「製紙会社側の管理体制をしっかりし、取引先企業にも検証してもらい、多面的に確認することで問題を二度と起こさないようにできる」と自信を見せた。しかし、対策が適切に機能しなければ再発する可能性もあり、いかに厳格に機能させるかが最大のカギとなりそうだ。【秋本裕子】(毎日新聞2008年4月2日20時32分)
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偽装引責の北越会長、製紙連会長にも「けじめを」
再生紙の古紙配合率を偽装した責任を取って4月1日付で辞任する北越製紙の三輪正明社長が、21日の日本製紙連合会の理事会で、製紙連の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)に対し、製紙連会長の辞任要求とも受け取れる発言をしていたことが分かった。偽装は製紙連加盟社を中心に最大手の王子も含めた18社で発覚。鴨下環境相は2月の記者会見で「けじめ」を求めたが、社長が辞意を表明したのは北越製紙と日本製紙グループ本社だけ。こうした状況を踏まえて、三輪社長は非公開の理事会で「環境相が求めたけじめを鈴木会長はどう受け止めているのか」と発言。三輪社長によると、鈴木会長から返答はなかったという。三輪社長は理事会後、自らの発言について「製紙業界は説明責任を果たさないまま、問題をうやむやにしているように受け取られている。このままでは信頼回復はおぼつかない、との趣旨」と話した。鈴木会長は「製紙連は問題にてきぱきと対応した。王子製紙も(会長や社長らの減俸の)処分を行った」と話した。 (asahi.com 2008年03月22日07時58分)
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内部資料入手!再生紙偽装で王子製紙・鈴木会長が虚偽報告
・・・・週刊ダイヤモンド 技術畑の鈴木会長は実際、自社の偽装の実態だけでなく、同業他社の偽装実態にも詳しかったとの証言が得られた。ある製紙会社首脳は「鈴木会長は他社との交渉の際、駆け引きの道具として、『御社のあの工場は再生紙生産量に比べて、古紙の調達量が少な過ぎるのではないか』とデータをちらつかせながら相手にプレッシャーをかけることがしばしばあった」と話す。対象となった会社首脳は、鈴木会長のデータ収集力と分析力に畏怖の念を持たずにはいられなかったという。それだけの人間が、自社の偽装を見抜けなかったと言い切れるのか。鈴木会長は1989年から1991年まで春日井工場の工場長代理をしていた。この時期は古紙高配合製品が登場し、偽装が拡大した時期だ。当時の鈴木氏をよく知る技術者は「工場長代理なら日報で針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、DIP、工場内損紙の比率がすべて見られる。再生紙のスペックと、実際の古紙配合率にどの程度乖離があるかは、小学生でも計算可能だ。当然、彼が偽装を知らないはずがない」と証言する。

一方で、再生紙偽装の認識については、篠田社長も同罪である。それどころか、「ダイヤモンド・オンライン」で2月22日に既報のとおり、2007年2月21日の会議では、古紙配合率の是正について篠田社長は「営業がやりたいというなら進めていきたい」と述べ、隠蔽まで指示していることがわかっている。さらに「今でも(表示どおりの古紙配合率の再生紙が)できていないのだから、(古紙が入手しづらくなる)これからはもっと難しくなる」と状況を冷静に分析しているのだ。この会議には篠田社長のほか山本信能副社長(当時、専務)など取締役10人(当時)中、鈴木会長を除く9人が出席。本部長、工場長クラス16人も顔を揃えた。そこでは、ライバルの日本製紙がグリーン100の生産を中止することについて、「当社もそれまでにあぶないものを止めておかないといけません」などと、違法性を認識しているセリフも見受けられる。
本誌のスクープ配信を受けて、会社が力を入れるのは内部告発者捜しばかり。ここに至っても経営陣が頬っかむりを続けていることについて同社関係者は、「経営トップが責任を下に押し付けようとしており、社員の士気は大きく低下している」とため息交じりに話す。本誌のこれまでの取材に対して同社広報室は「憶測にすぎない」と否定しているが、それでは会議の中で言っている「あぶないもの」とは何かを問うと、「企業秘密なので言えない」とかわすのみだ。経済産業省、環境省は製紙各社に対して偽装の実態を明らかにするよう指示を出している。ならば、王子製紙は「あぶないもの」とは何かを説明する義務がある。自民党は2月29日に「環境と古紙配合問題に関するワーキングチーム」(小野晋也座長)を発足。近く第1回会合を開催し、王子製紙を含む大手製紙会社5社の幹部を呼び、「けじめ」を要求するのではないかといわれている。再生紙偽装という国民を欺く大問題を起こしながら、いまだに不誠実な対応を続けるならば、政治介入も仕方ないところまできている。(2008年03月18日『週刊ダイヤモンド』 編集部 野口達也)