ひよどり 2008

日曜、近所のおじさんが畑脇のキンカンの所で何やらごそごそやっていました。長い時間やっているので(とりもち)でも仕掛けて居るのかと思っていました。で、週明け月曜の朝、事務所へ行く為家を出た所、そのおじさんが道にしゃがんで何やら作業をしています。そして私が声をかけるのを待っている風でした。これは・・・・・!

「おはようございます」いつものように声を掛けると、おじさんもいつものように「おぉ いくかえ いってらっしゃい」と返事をしてくれます。しかしその朝はさらにニコニコ顔です。ニコニコしながら作業をしています。大体見当はついていたので、おじさんの周りにヒヨドリの羽根が散らばっていても気になりません。「トリモチで獲ったんですか?」・・・・おじさんは早口の幡多弁で話すのでよくわからない言葉もあるのですが、大体わかりました。(意味:キンカンの実を全部食べられた・・・トリモチではない・・・・ワナをしかけた・・・・)と言うような事です。ワナかぁ・・・・。こんな事を書くと、野鳥保護の立場の人や、鳥獣害に苦しむ立場の人の事が頭をかすめます。

試しに ヒヨドリと言う語句や、トリモチという語句を検索すると、それぞれの立場の意見が出て来ました。私にはこのような事に答える知識はありませんが、愛鳥家の家内にこの話をしたら、ムッとしていました。しかし銃器に頼らずに獲物を捕るという事柄を考えた場合、昔の日本人ならほとんど知っていた事が、だんだん廃れていく事には寂しさを感じました。

別れ際に、「食べるんですか」と聞くと、おじさんはニコニコしながら盃を口に運ぶ仕草をしながら「アテにええけん」(酒のつまみにしたらおいしい)と言っていました。それを聞いて、何だがいろいろ頭に浮かんだ事が嫌になり、おじさんにすまない気分になりました。そして自分に対する罪悪感も有ったのでしょう、こう付け加えました「私の父も食べていましたよ」おじさんに声が届いたかどうかわかりません。歩きながらでしたので、でもおじさんはニコニコしながら会釈してくれました。