2004.08.22 藤沢ヘブン 

「むかしはものを おもはざりけり」権中納言敦忠 私の好きな百人一首の中でもベスト10に確実に入る歌です。

世間は相変わらず世知辛い日々です。しかし私にはそれよりもっと大変な時期です。この時期寒さに弱い私はひたすら忍の一字。早く3月の声を聞きたい物だと恨めしくカレンダーを見ること日に数回。とにかく寒い。南国土佐でも寒い事に変わりはありません。北国、雪国の人にすれば、「あなた何言ってんの?」と言われるかも。でも寒さに弱い私ですが熱い夏は平気です。高知のジリジリする太陽も、都会のアスファルトの灼熱も、古いフェリーの冷房の効かない2等船室も、全然平気。平気なので自慢しようと張り切ってぎっくり腰になった事も有ったぐらいです。あぁ早く人の嫌がる夏にならんかのぅ・・・と思いながら、また今カレンダーを見ました。すると、なんだかオートバイに乗りたくなってしまいます。でも寒いから乗りませんね。

で、引っ張り出して来たのが、神奈川県藤沢市の山中に有る天国で撮った写真です。サーフィンなどのイメージが強い湘南地区には古いハーレー乗りに人気の(駆け込み寺ともいいます)ショップが有ります。この写真を撮ったのは今から3年6か月前。まだ高知に移住するなんて思いもよらず、ひたすら兎屋を軌道に乗せるべく努めていた頃です。まだ子供達も幼い顔で、家族みんなが大好きなM田君が東京都青梅市からショベルヘッドの修理の為にショップにやって来た時に撮ったものです。その頃私達家族はこのショップから10分の所に住んでいて、忙しく働いているショップオーナーのWさんの手元の加減を見ながら、邪魔をしないように注意し、それでも興味のある仕事の事やオートバイの事、自分の事、Wさんの考えなどを聞いたり話したりしていました。Wさんは独立してこのショップを立ち上げて間もない頃で、私も同じ藤沢市内で紙バンドの仕事を始めたばかり、同じ頃仕事を始めた同志と言う事で、幾度か突っ込んだ話を、酒なし&立ち話でしていました。

その後、このショップは横浜市金沢区に引っ越しをし、私達兎屋一家も遠い高知県へ移住しました。で、去年は私の1957年式の車検。どんなに遠くに離れても車検と大修理はランブルエンジニヤリング、中修理は静岡県富士宮市、小修理は自分と決めているので、去年夏の車検時は車で帰省する家内に頼んで、1957年式を神奈川県まで運んでもらいました。そんな事を頼む私も私ですが、家内も協力してくれて感謝です。結局家内の実家から横浜市金沢区までのややこしい道順を教えなくても済んだのは、なんとランブルエンジニヤリングが、また藤沢市に戻ったと言う事を知ったからで、そこではいつもと同じ・・・家内に聞くと前より大きくなっていたよ・・・・風景が繰り広げられているようです。地味だが渋い。そんないろいろな事が有って後に、改めて見返す写真もいい物です。「むかしはものを おもはざりけり」私の好きなうたのひとつです。


2010.06.08 藤沢ヘブン