「古紙1%でも再生紙
製紙連が方針 配合4段階、マーク表示」
生紙の古紙配合率偽装問題を受け、再発防止策を議論している日本製紙連合会(製紙連)の古紙配合率問題検討委員会は十五日、新たな配合率表示の素案をまとめた。四段階に区分した段階別表示と実数表示の二種類を併用する方針。消費者代表らで構成する「古紙と環境検証委員会」に素案を提示後、製紙各社や文具メーカーなどに使用を呼びかける。 四段階の区分は「1-10%」「10-40%」「40-70%」「70%以上」。実際の運用に当たっては、統一マークなどで分かりやすく表現することも検討する。 「わずかな配合でも『再生紙』と公称できることで全体的な原料古紙の利用促進につなげたい」(製紙連)との理由で、最低配合率は1%とした。実数と段階別のどちらの表示を採用するかは再生紙商品を製造販売する製紙会社や文具メーカーなどに任せる。 再生紙にはこれまで古紙配合率の基準がなく、定義がわかりにくいとの批判があったため、表示を見直すことにした。ただ、配合率に幅がある段階別表示の場合、マークだけでは消費者に誤解を与える可能性もあり、さらに議論を呼びそうだ。 委員会では、表示する配合率の保証範囲についても議論。原料古紙の品質が一定でないため、生産した紙の平均値とすることで委員側の意見が一致した。誤差の範囲については今後の検討課題とした。 (北海道新聞2008 02/15 23:58)
年賀状用紙の偽装騒動で年が明けた2008年1月、製紙会社=業界=官庁=自治体=消費者=教育現場 を巻き込んだ大きな問題になってましたが、1月下旬海の向こうから飛んで来たギョーザショックで、世間的には再生紙云々のニュースは減っていました。しかし私としてはエコロジーに名を借りた様々な問題が発生したと言う事は、当事者達が思っているよりも根が深く、どうするの?と言う気持ちも有りつつ、どっちかと言えば紙業界寄りの気持ちでニュースを眺めて居ました。そして、定義のない再生紙と言う言葉に、ちゃんと定義を作りましょうという流れは当然で、業界のまとめ役の日本製紙連合会が音頭を取るのも当たり前と見て居ました。後はどんな話し合いが行われ、どのような再生紙の定義が作られていくのかと・・・・・・・
で、第一報がニュースや新聞で流れています。理屈は記事を読めばわかりますが???。1%古紙混入率の紙が再生紙なの?素朴な疑問と共に、腹も立って来ます。再生紙と言う紙が登場したのが約20年前(今は亡き本州製紙富士工場品)その頃から、何故再生紙に古紙の混入率が明記されていないのか不思議に思っていた私にとっては、それがたたって、嘘が始まり、立場の違いからどうにもならなくなったのが、今回の製紙業界を取り巻く問題で、その根っこに横たわる業界の体質こそ根源と見て居ました。
情報集めの為、出張の際東京で会った紙業界の仲間に聞くと大手といえども各社技術力の差は歴然で、今回の再生紙問題での受け取り方にはかなり温度差が有るようです。(自社こそ被害者だと言う雰囲気かな?)それと、本当は値上げをしたい製紙業界だが、再生紙問題で値上げの話を切り出す雰囲気ではなくなり、しばらくおとなしくするらしいよ・・・との話ですが、聞いていて相変わらずの雰囲気だなぁ・・・。と感じました。値上げは原油・パルプの高騰が主な理由で正当でありますが、それを言えない原因を自分たちが作っていながら本当の事を言えない体質こそ、本当の話をしたい時に口を閉ざさなければならない事につながっている事には、きっと気付いていません。誠実でないと言えばそれまでですが。
再生紙の定義を新しく作る事に私は期待をしていました。過去はこの際我慢して貰い、これからの取り組みで頑張れば、裏切られたと感じている人達にもいつかは判って貰えるだろうと、それ今こそチャンスなのだと言う事も。パルプと古紙の仕入れは相場商品ですので、仕込みの際の混入率も日毎週毎変わるのは当たり前、それをしっかり説明した上で、再生紙作りに取り組み、しかし、それでも時間毎の古紙配合による実混入率のブレは当然です。ここはわかりやすく説明をすべき箇所です。再生紙を謳うと言う事は、そう言う事だと思っていました。上記新聞内の「・・・・わずかな配合でも『再生紙』と公称できることで全体的な原料古紙の利用促進につなげたい(製紙連)」の箇所は、何度読んでも私にはわかりません。 (製紙連で決めた事が紙に関する常識になって行くことこそ妙です。) このまま作られた定義で、また偽装の疑いを受ける事は確かでしょう。偽物を証明する事は簡単で、それをやって来た業界です。本当に難しいのは、本当の事を証明する事だと考えます。ISOと言う規格管理団体に委ねると言う事も小賢しく聞こえます。証明書は証明書でしか有りません。本当の商品は証明書など必要ない事は明白です。
大きな問題。ここで決めた事が次の世代に受け継がれる事を感じますかと言う事です。後に堂々と子供達に説明出来ますか?子供達の顔を浮かべて仕事してるでしょうか?企業活動の手前本当の事を隠す必要が有るのは勝手ですが、決めたらそれで走り出してしまいます。1%でも再生紙・・・「出来ない言い訳」や「やらない理由」はいくらでも付けられます。でもそんな事いくら言っても無駄です。いつか子供達は今回の事を笑うでしょうし、ツケを背負うのは子供達です。私はそれがはずかしい。
(2008年2月18日追記)因みに、古紙混入率が1%の紙でも再生紙と呼んで良いとするなら、古紙混入率0.5%でも再生紙という事にもつながりますが、違和感は同じです。再生紙という言葉に20数年踊らされた現実が有るのに、これからもそれを続けるのでしょうか?思い込むのは消費者の勝手・・・はもう済まない話です。お金の為に理屈を付けて1%でも再生紙と呼びたい所が不純です。初めに再生紙ありき、再生紙と言う名前を使いたいとする以上、こんな話になるわけです。こんな定義なら必要ないでしょう。私は再生紙の定義は必要と思っていましたが、今回の事で私も間違っていたと反省しました。それより夫々の製紙会社が自信を持って(古紙率○%~○%を目標に作られた紙です)と書けば疑問はないですし、消費者だって理解しやすいと考えます。紙業界では製紙連合会と製紙大手が中心となって今回の反省?から環境貢献活動に10億円を各製紙会社から集めて使う見たいな話になっています。誰の発案かわかりませんが、正気でしょうか?この話に巴川製紙所はすぐに不参加を表明し、自社独自での環境貢献活動を優先すると発表しました。むしろ私にはこの考えの方に反省と誠実が感じられます。