過去何回キャンプ場で注意して来たかわかりません。
初めて注意をしたのは26才の夏、初めてのキャンプツーリングで行った青森県十和田湖の「子ノ口キャンプ場:ネノクチキャンプジョウ」でした。
お盆休みを利用し1人で東北をオートバイで走っていました。まず盛岡から久慈に出る途中の峠で人生はじめての野宿をし、あまりの恐さ(1人で山の中)に参り、翌日は下北半島下風呂温泉街が見える岬の先でキャンプ、夜中に目が覚めテントの中が明るいのにびっくりし、外に出て見ると海峡いっぱいにイカ釣り船が出ていました。今でも光景を覚えています。で、最終日が「子の口キャンプ場」野宿に飽きて人のいるキャンプ場に入りました。
お盆時期で人がいっぱいです。私の周りにも子供連れの家族等がテントを張っていました。ふと遠くを見ると大きなテントが立っています。メンバーは地元のお年寄り達です。(へぇ~元気なお年寄り達だなぁ~)と眺めていて、エッと思いました。発電機が持ち込まれています。ふ~~~ん・・・・。まさかねぇ・・・。でもやるだろうな・・・・。で30分後、テントも立ち、荷物も持ち込まれた頃、やっぱり発電機のエンジンがうなり始めました。お盆で人が多いとは言いながらも、景色のよい「子ノ口キャンプ場」の静かなたそがれ時、にわかに起こるエンジンの響き、勇ましいじゃありませんか?周りの家族連れも(やれやれ)といった顔です。
で、これは行かねばと思い、まっすぐ歩いて50m。大きなテントの中に入り込み、おじいさん達に言いました「静かなキャンプ場ですよ。発電機はやめて下さい」おじいさんたちはすぐに発電機を止めてくれました。
それから20年の間、キャンプ場や電車の中で(もちろん相手を見て言いますが)マナーの悪い人には注意をして来ましたし、当然自分も気を付けて来ました。しかし、昔に比べて力が無くなって来るし、それに注意すること自体に疲れて来たので、最近ではあまり注意をしなくなりました。しかしこの間、大阪からの帰りの事です。

四国に入り、高知駅を過ぎたある駅で、3人の大人と4人の小学生が乗り込んで来ました。どうやら何かの発表の帰りか、今から行くのか?大きな荷物を持っていたので泊まりがけかもしれません。小学生たちは行儀の良い子達で、時々笑い声は聞こえますが、微笑ましい風景です。私は文庫本を読みふけっていました。
と、いきなり携帯電話の大きな呼び出し音。良く有る事ですが迷惑な事ですね。誰だろうと見回すと、先ほどの小学生と一緒の大人です。どう見ても3人の大人は学校の先生。30代の女性と30代後半の男性、それにリーダーっぽい50代後半の男性の内の、まさに50代の男性教師っぽいのが立ちあがってデッキに向かいます。でも急ぐ風でもなく。しばらくして話し終えたのか、席に戻ります。まぁマナーモードにし忘れたのでしょうね。
で、私はまた文庫本の世界に戻りますが、10分もしないうちにまた、耳に響く呼び出し音。(このやろう!マナーモードにしろよな!)と心の中で思いながら見ていると、また急ぐ風でもなくダラダラデッキに向かいます。なぜマナーモードにしないのか不思議ですし、若い先生達も年配教師に注意する風でも有りません。いったいどんな教師だろう、偉そうに子供達に指示してるけど、それでいいのかな?大人として?
で、それからすぐに、また呼出音です。(いいかげんにしろよなぁ)と思ってると、今度はデッキにも行かず、席に着いたまま、口元を手で覆いながらも大きな声で電話しています。おかげで電話の内容をほとんど聞かされました。(つまらない話でした)私はこの2年間は注意を封印して来ましたが、どうにもおさまりがつかなくなって来ました。これが普通のオッサンなら無視をしたでしょが、引率している子供の前で教師が・・・・と思うと悲しくなって来ます。絶対にやめて貰いたい行為ですし、教育上良く有りません。教師がそうならきっとその学校はズルズルなんでしょうね。子供達がかわいそうです。
その教師は私の視線に気がついたのか、絶対に私を見ない代わりに、若い男性教師に向かって、くどくどと、どうでもいいような話を途切れることなく続けています。話が終わると私の視線につかまるのを避けているようです。
さて、どうしようか?子供達の前で叱ろうかな?デッキに連れて行って注意しようかな?イヤそれは私の鬱憤を晴らすような事になるし・・・・後で嫌な気持ちが残るようで・・・・この場合どうすればいいのかな?私の降りる駅が近づいて来ました。荷物をまとめ、コートを着て、帽子をかぶって・・・。その間も考えていました。
で、汽車がホームに入り始めた時、席を立ってその男性教師の横を通り過ぎる時、腕をつついて、身をかがめ、耳元でゆっくり囁きました「携帯電話 マナー」見ると男性教師は平静を装う感じで、ちょっと会釈をしました。それを見ながら私は汽車を降りて行きました。あとの二人の教師の顔は見ませんでしたが、きっと私が何を囁いたのか分かっていると思います。子供達は気がつかなかったかもしれません。一瞬でしたので。