火鉢(手あぶり)

この火鉢は平成2~3年頃のある日曜日、原宿表参道に出ていた露店で求めました。その頃友達がインチキなシルバーを原宿の道端で売っていたので、面白半分遊びに行った時、百人一首好きな私が目ざとく見つけた火鉢です。骨董品のジャンルで生活用具と言うのが有りますが、この火鉢はけっして古い物ではなく、もちろん由緒ある品でも有りません。時代もせいぜい昭和初期(戦前)の物でしょうし、柄も印刷です。ただ、百人一首の柄は珍しいと思い、立ち止まってどうしようか・・・・と思案していましたが(こういう物はその時に買わないと、後で後悔する)と思ったので買ったのです。

店先にはまったく同じ柄の火鉢が並んでいたので、有る程度数が作られ、まとめて有る場所に売られた物だろうと想像していました。柄の百人一首から考えると一般家庭用とは考えられず、これは酒食を提供するちょっと色気の有る場所で使われたのかなと思っていました。ただ残念な事は、折角の百人一首なのに、書かれている絵札がたったの二枚と言う事です。しかしどちらも私にとっては思い入れの有る歌なので、それはそれでいいのでしょう。それに百人一首の柄は何故かあまり見る機会が有りません。花札や鳥獣戯画、風神雷神などを意匠化したものは時々見られますが、無いでしょ?百人一首・・・・。

「大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」小式部内侍:コシキブノナイシ
「久方の ひかりのどけき 春の日に しづ心なく 花のちるらむ」紀友則:キノトモノリ
さて、明日から大阪へ私用で行きます。大阪は久しぶりです。なにか面白いものでも見つけて来ますよ、百人一首柄のなんとかとか・・・・。