
私達一家の場合、仕事ごと移住するので、住む為の住宅はもちろん、仕事用の事務所が必要になります。特に事務所は出来るだけ広いものを望んでいました。せっかく田舎に住むのだからという思いもありましたが、兎屋の商品在庫と管理に手間が掛かり困っていますと加工メーカーさんから要望が出ていたので、それを解決しなければならない時期でも有ったのです。その様なこちらの背景もお話しながらいよいよS原さんと四万十市内へ向けて物件探しの旅に出ました。
第一希望の家はタッチの差でダメでしたので、S原さんお奨めの物件に向かいます。その前にチョット市内の或る店舗を見せて頂きました。商店街のハズレの交差点に有るその店は改装中で、店の半分を事務所として貸しても良いとの事です。きれいな物件でしたが狭いので断念しました。まだ物件探しは始まったばかり、あせる事は有りません。
次に向かったのがS原さんお奨めの住宅物件です。市内から10分程の集落に有ります。バイパス道路も完成したばかりで広々とした田園地帯を突っ走って行きます。田植えの時期ではありませんでしたが、気持ちよい田園ライフを期待させる風景です。しかし目指す住宅物件の玄関の鍵を開けようとすると、中から人が出て来ました。どうやらこの住宅のご主人さんの許可を貰って数日前から住み始めた人です。これもダメでした。
都会で不動産情報誌片手にアパート探しをするのでは有りません。ボランティアで私達の様な移住者の為に汗をかいて下さっている方です。こちらも申し訳なく思いながら車に戻りました。この物件も良かったのですが私には当てがありました。高知南西部に住むなら四万十川流域にと思っていたので、協議会さんから頂いていた資料の中の一軒の家を指定して見せていただく事にしました。その家は市内から四万十川をさか登る事15分の所に有ります。写真の雰囲気が良かったので期待していました。午前中大雨だった天気も昼頃からどんどん回復し始めこの頃には青空が広がっていました。国道から20mの所にその家は有りました。国道を挟んで反対側に田んぼと雑木林があり、更にその向こうを四万十川がが流れています。林によって遮られているので直接見ることは出来ませんが思ったより下の方を流れているようです。その家から川までは300~350mは有るようです。
家に入って中を見させて頂きました。思ったより傷んでいます。無住になってずいぶん経っているようです。これを直すにはかなりお金を掛けないといけないようです。室内を歩き回っていると・・・
- S原さん「おととしの氾濫の時この家も半分水につかったようです」
- 私 「えっ」 S原さんが壁を指差しながら
- S原さん「ここから色が違うでしょう、ここまで水が来たんですよ」
- 私 「かなり高い位置に家が建ってると思いますが、ここまで来たのですかぁ…」
外に出て国道の向こうに見える林を見ました。その林の高さも家からはかなり低い位置に有ります。(いったいここまで水が氾濫する四万十川って思ったより強暴だな。こんなに空が広くて静かな村なのに・・・・)コレが2軒目を見た後の感想です。勿論却下です。車での帰途、下の田んぼへ続くあぜ道に横倒しに成っている軽4トラックが目に入りました。
- 私 「S原さん、あれは?」
- S原さん「・・・あぁ 先週の洪水の時、避難が遅れたか忘れたかで浸かった車ですね」
ここで気を落としてはいけません。一度市内へ戻り途中から四万十川支流の後川方面へ向かいました。支流と言っても大きな川です。その地区は田園地域で学校のまん前の物件を見せて下さるという事です。橋を渡り土手を行くと田園ばかりです。その田園群は先週の洪水の余波でまだ水は引いていなくて、まるで大きな湖の様です。一人のお百姓らしき人が長い棒のような物を持って田んぼに縁に立って居るのが目に入りました。
- S原さん「佐野さん、あれ何やってるかわかりますか?」
- 私 「いや わかりません」
- S原さん「あれは鯉を突いてるんですよ、洪水で田が浸かると鯉が入るのですよ」
- 私 「へぇ~ 食べるんですか?」
- S原さん「もちろん おいしいですよ」
- 私 (…このあたりは洪水に注意だな、しかも頻繁に水がでるらしいなぁ)
学校前の物件はまあまあきれいでしたが、狭くて家族4人には無理が有りました。単身赴任の学校の先生用に良いようです。S原さんがもう一軒この近くに有るので見ますか?と言うので、当然見せていただく事にしました。はるばる遠くから日程をやりくりして来たのです。この際なんでも見せて頂こうと思っていました。
次の家(=事務所物件を含め今日5軒目です)は田んぼを海にたとえたら島の様な位置関係に有る小さな丘の上に建っていました。その丘を中心に数軒の集落を形成している内の1軒です。丘の頂上は平たく拓けていて更に3軒の家が有りました。日当たりも良さそうです。コレはいい感じです。中に入って間取りを見ましたが4人で生活できそうです。そこで玄関前で持参していた磁石を使ってみました。・・・・残念・・・・玄関の向きが北です。私、気にしてるんですよ方角を・・・・。方角や家相は人それぞれですが、やはり太陽の位置や風の吹く位置は知って居たいです。
S原さんにも、北向きの家はチョット・・・・と言ってお断りをした所、次の家はこの家から5分の位置に有りますという事で早速向かいました。6軒目の家は川のそばの雑木林に囲まれた日当たりの悪そうな所に建っていました。わざわざ家の中を見るまでも無く内部の状態は想像が付きますし、なによりそのあたり一面水浸しです。位置から見ると土手に守られては居ますが土手の向こうは川、ここはいわゆるゼロメートルです。しかもこの水溜り、水が流れ込んでいるのではなく地面から水が湧いているようです。先週の洪水という単語とさっき見た鯉突きのお百姓さんの画像が頭に浮かびました。四万十流域での不動産探しは気をつけないといけない・・・・。
ここで、S原さんの物件在庫が切れました。一度市内に戻りましょうという事にしました。ここまでで2時間を越えていました。
注)この記事は2007年2月3日(旧)兎屋ブログからの転載です