夕べは早く床に着きました。21時前だったでしょう。すると部屋の外ががやがや騒がしくなり、目が覚めました。中3男子が家内になにやら話しています。「・・・・うなぎ・・・・」という言葉が聞こえます。どうやら うなぎを捕まえたようです。時計を見ると23時を過ぎています。夢うつつだったので、一度は眠い目をこすってうなぎを確認しましたが、私はすぐに部屋に戻り寝てしまいました。眠りに戻る前に、考えた事は。「親父もうなぎ獲ってたなぁ・・・これでとうとう息子もうなぎゲットかぁ・・・・わしはたぶん一生うなぎは獲らないだろうなぁ・・・ZZZ」
翌日、「その時」の事を中3男子に聞いて見ました。本人は立ち上がり、その時の状況を身振り、手振りで話してくれました。

【22時前、いつもの通り、パンツ一丁で川に入り、懐中電灯とエビ鉄砲(エビ刺し)を持って、川の中を1時間ほど漁っていると、川岸のヤブの所でうなぎらしき尻尾を見つけた。
注意していると頭も見え、うなぎと言う事を確信。しかし今はうなぎを獲る道具を持っていない。ここで家に帰って道具を持って来るのも方法だが、たぶんこのうなぎは逃げるだろう。じゃやあエビ鉄砲で刺してやろうと思うが、実はうなぎを発見する1分前にエビ鉄砲のゴムが切れて、バネが利かなくなっている。仮にエビ鉄砲を使うとしても、エビ鉄砲のヤスには返しが付いていない・・・・。
明かりに驚いてうなぎが逃げると困るので、その場を一歩も動かずライトを消して、2~3分考えたが、他の方法が思いつかず、エビ鉄砲のヤスの部分を仕舞った状態で突く事にした。さて、いざ突こうと思っても、なかなか思い切りがつかない、せっかくの獲物を逃す訳には行かないが、失敗してしまう気もする。生まれて初めてのうなぎ獲得のチャンスを前に、大きく何回も呼吸をし、心を鎮めながらも、ここで逃したら後悔も大きいぞと思い、命にかえても(大げさな表現ですが本人が言ってるので)獲るぞという気持ちを強く持って、明かりを灯し、片手で一気に突いた。
見事ヤスはうなぎの後頭部に命中!うなぎが大きく暴れ始めた。一度は上に差し上げて見たが、うなぎの暴れ方が尋常では無いので、このままだと、返しの無いヤスから抜け落ちると判断し、再び川底にうなぎもろともヤスを刺し込んで、うなぎの体力消耗を待つ事にし、その間真っ暗な川の中でじっとヤスを押さえていた。10分後、川から引き上げたヤスの先には、まだ元気なうなぎが丸く玉になっており、自分の右腕に絡み付いてくる。うなぎのぬるぬると血で汚れたまま、家に帰り母さんに見せた・・・・。と言う事です。なんかかっこいいなぁ ・・・。】
翌朝もいつものように、川でエビやらカニやらをやってると、4人のおじさんの声を掛けられたそうです。ほとんど顔なじみになってるおじさん達だそうです。エビやカニの話をしてる分には、今時珍しい中学生ぐらいの風で話していたらしいのですが、うなぎの話をしたら、みんな「それはスゴイ」と言ったそうです。やはりうなぎは格上獲物です。私に絶対真似出来ない世界に入ってしまった中3男子です。川が彼を育てて居るようです。
注)この記事は2006年10月1日(旧)兎屋ブログからの転載です。
[…] 2006年10月1日「うなぎ」→ クリック […]
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