雨夜走行高知道 2006

先週、高知県幡多郡黒潮町からの帰り、四万十町(四万十市では有りません、こちらは町です・・・・あぁややこしい)窪川で夕方からポツポツ降り始めた雨は、須崎市(すさき)でバケツをひっくり返したような(この表現も月並みですなぁ)雨に変わり、暗いのと雨の激しいのとで、道が見難くなり、もったいないけど高速道路に入りました。

本当は翌日の徳島港発11:00のフェリーに間に合えば良いので時間は多いくらいです。だらだらと走り南国SAでトイレ休憩をしようと寄ったところ、暗いパーキングで一人の兄ちゃんが[大阪]と書いた紙をもってペコッと頭を下げたのが見えました。どうしようかな?と頭で考えていましたが、腹は決まっていました。

トイレから戻りしなに、「兄ちゃん!大阪までは行かんけど、ここじゃ車も少ないけん、池田の先のSAまでなら乗せるよ」ヒッチハイクの人を乗せるのは2回目です。

かわいそうと思って乗せる事はありません、ただ長い道中話しながら走ると気がまぎれるのです。

・・・・・車中で・・・・・

  • 私 「年いくつ?」
  • 兄ちゃん「26っす」
  • 私 「なにやってるの?」
  • 兄ちゃん「フリーターっす」
  • 私 「仕事どう」
  • 兄ちゃん「安いっす」
  • 私 「どんな仕事?」
  • 兄ちゃん「イベントの企画会社っす」
  • 私 「休みないだろ」
  • 兄ちゃん「無いっす」
  • 私 「これからどうするの?」
  • 兄ちゃん「考えて無いっす」
  • 私 「わしも20代は何も考えてなかったな」
  • 兄ちゃん「今がよければいいですよ」
  • 私 「そうかもな・・・・・好きな子いるの?」
  • 兄ちゃん「居ないっす」
  • 私 「嫁さん貰うんだったら働き者もらえよ」
  • 兄ちゃん「・・・・うん・・・あの子は働き者だなぁ・・・・」
  • 私 「働き者ならちゃんとつかまえないと気が付いたらカスばかりやで」
  • 兄ちゃん「そうですね」
  • 私 「年金払ってないやろ」
  • 兄ちゃん「ネンキン? 払ったこと無いです。知らないし」
  • 私 「フリーターで貧乏やけど年金払わんと歳取って悲惨な目に会うで」
  • 兄ちゃん「年金いくら払うんですか?」
  • 私 「13000ぐらいや、年金払うのかっこ悪いか?」
  • 兄ちゃん「さぁ わかりません」
  • 私 「年金払って無いとちゃんとした彼女ゲット出来んぞ」
  • 兄ちゃん「そうですね・・・・」
  • 私 「目を付けてる子、さっきの働き者の子やったらなおさらやで」
  • 兄ちゃん「・・・・・」
  • 私 「しっかりした子やったら年金払って無い人には絶対について行かんよ」
  • 兄ちゃん「年金払います」
  • 私 「勉強せいよ」
  • 兄ちゃん「?」
  • 私 「新聞や本 読んどるか」
  • 兄ちゃん「読んで無いっす」
  • 私 「お金無いんやったら 図書館へ行けや タダやで」
  • 兄ちゃん「実は顔料に興味があるんです」
  • 私 「それやったら図書館で調べや」
  • 兄ちゃん「岩石から色粉を作りたいと思ってます」
  • 私 「わしの商売も色が関係しとるんや」  ・・・・(顔料と染料の話をする)・・・・
  • 私 「今は貧乏でも勉強しとったら必ずチャンスが来るで」
  • 兄ちゃん「年金払って、勉強します」
  • 私   「がんばれや」

・・・・SAに到着・・・・

もっと車が多いと思ったSAでしたが、南国SAと同じで人気がありません。大阪まで連れて行ってやろうかとも思いましたが、今夜は徳島港で寝て、早朝の日本×ブラジル戦をラジオで聞かなければなりません。さびしいSAに彼を残し走り去りました。彼がこれから年金を払うのか? 払えないのか? 勉強するのか? 出来ないのか? 働き者の彼女をゲット出来るのか? 出来ないのか? 私も同じような道を歩いて来たのでしょうし、これからも歩いて行くのでしょう。何処で誰と出会うのか? 袖を振り合うようなすれ違いに実はヒントがあるんだろうなぁと思ったほぼ1時間の会話でした。

注)この記事は2006年6月27日(旧)兎屋ブログからの転載です。