昨年暮れ、家内の「高知もいいかも」の一言から、それじゃあ一度現地を見てみようと言う事になり、他の用事もくっつけ四国に向かい、高知県宿毛市~四万十市(旧:中村市)に行ったのが12/29、暖かいと言っても冬のさびしげな町並みや四万十川を見てもピンと来るものは無く、その日は河口のキャンプ場のロッジで1泊し、明けて30日せっかくなので海岸を見ながら走ろうと、くねくね県道で辿りついた所が黒潮町(旧:大方町)その町は南向きに広がり明るい町で、海岸線が4kmもある入野松原という所から眺める太平洋は気分の良いものでした。でもまだ移住なんて考えてなく、その日はそのまま神奈川まで帰ったのです。
実は兎屋一家、2008年信州移住を考えていて、私も家内も憧れの信州生活をずっと昔から夢見、仕事をしていたので有ります。ところがひょんな事から高知県西南部視察をしたのがきっかけですぐに長男に反応が出ました。年明け1月のある日・・・・・・・・・・。
- 長男「いつ高知に行くの?」
- 父 「 ? ! えっ まだ行くとは言ってないぞ」
- 長男「高知行こうよ、いつ行くの?」
- 父 「うぅぅぅぅん・・・・・ ちょっと考えさせてくれ、お前はいつ行きたいのや」
- 長男「今すぐ」
- 父 「あほか 仮に行くとしても早くて7月だぞ、それにまだ決めたわけじゃないし」
- 長男「えぇっ7がつぅ! 遅い!6月にしてくれ~」
- 父 「何で6月なんや?」
- 長男「だって7月だと夏に入ってるだろ、おれは夏の初めから楽しみたいの」
- 父 「あほか、学校があるやろ、それにお前友達と離れるのはええのか」
- 長男「おれ? 全然気にしないよ、それより釣りよ、釣り」
- 父 (こいつは やはりワシとはだいぶ違うなぁ)
- 父 「転校したら、いじめとか有るんだぞ」
- 長男「あぁ おれそんなの平気だから」
- 父 (わしは転校なんてドキドキで嫌なのに、ヤツは釣りが出来たら何でもええのやな)
- 父 「おまえ なんで高知がええのや?理由をゆうてみ」
- 長男「・・・・・・面白そうやから!」
- 父 「わかった お父さんも真剣に考えてみるからの」
その日から1月~2月の間、悩みに悩んで、なぜ高知なのかという理由をあれこれ考えていました。自然が有るとか、子育て環境に良いとかでは弱い。もっと強い動機付けが欲しい、どうしても高知県で無ければならないと言う理由が欲しい。現社会、近未来、経済状況、日本を取り巻くもろもろの環境などを考慮に入れ、改めて高知県を調べ、眺めていると、ついにある目的を得ました。その為に成るか成らんかはわかりませんが、家族で高知県移住に決したのです。(さようなら信州・・・ちょっとさびしいけど)
次男君(小3)はちょっと友達の事が気になっている様子で、その姿を見てるとかわいそうに思えますが、(いや! 次男よ!お前にとってもきっと楽しい土地になるよう精一杯がんばるから、今回はごめんね)と心に手をあわせて済ますことにしています。
先週の高知行きは、借家の契約に行ったのです。今回で3回目になる大家のMさんは前回と変わらず誠実な対応で、私もいよいよMさんのファンになって行きます。
Mさん「畑のスイカが実を付け始めています。子供さん達に言って下さい。引っ越して来る頃には沢山スイカが出来るから、自由にもいでくださいよと」

そのまま言葉が心に染みてきます。この方にお家を貸して頂けるだけでも黒潮町に越して来る甲斐が有ると言うものです。私はサラリーマン時代も、今の自営をしている時でも、商売だからと言う理由で思っても居ないような台詞を吐くことが有ったし、今も有ります。わざわざ人の気分を害する無いでしょうし、多少嫌なことでも反対の事を言えばそれで済むという物です。
しかし個人的にはつらいし、あまり嘘も上手ではありません。それに心に思っている事(悪い事)がすぐに顔に出るという欠点があります。出来ればうそを言わなくても良い世界で生活したいと常々考えていた所の、Mさんとの出会いは、私にとっては癒される思いです。癒しがあれば商売でも何でも出来るでしょう・・・・・。 たぶん残りの人生、スイカを見る度にMさんの言葉を思い出すでしょうし、これからそんな経験が多くなりそう!
注)この記事は2006年6月13日(旧)兎屋ブログからの転載です。