その店は街道沿いにあり、ログハウス風の建屋にサーファー風?の飾り付けがされています。(静岡から引っ越して来たばかりの時はさすが湘南だと思っていました)
その店の前を通るたびに頭の中では、カレーに命を懸けた、ちょっと崩れたおっちゃんが渋く作っていて、コーヒーもおいしく飲めるのだろうなァ・・・・。きっとメニューには、カレーしかなくて。飛び切りうまいカレーをたべられるのかなぁ・・・・きっとそうに違いない、いやまてよ?あまり期待するとコケル場合もあるし、カレー専門と言っても私の好みとは違うかも知れないぞ・・・・・・。と 数年間この店の前を通るたびに考えていました。

その店は通り沿いにあるのですが、ちょっと引っ込んでいるのと店の前にいつも車が2台駐車してるので、看板が無ければきっとわからない店でしょう。で、その看板は 黄色地に茶色(インド風書体?)で大きく”カレーライス”と書かれています。店はともかく、看板を見るだけですでに口はカレーになっています。当然今日も看板から期待を受けつつ店に近づいて行きました。
その店の前に初めて立ちドアノブに手をかける時、頭によぎった事があります「近くで見ると以前の印象とはだいぶ違うな、それにカレー屋特有のスパイシーな香りもしないし・・・・・」ふと思っただけで店に入って一番初めに目に付いたのは、客席カウンターに70歳台のおじいさん(店主)と配偶者らしき方がカウンター内(厨房)にいらして、お客はやはり70歳のおばあちゃんが店主(70歳代男性)の横にすわり、しきりに店主の方のお話を聞きながらうなずいていらっしゃる光景です。
(うん?違ったかな?はずしたっぽいなぁ?)で本能で思わず
私 :「やってるんですか?」すると、
店主:「の~~~んびり やってま~~す」(大声)
私 :(この返事は慣れてるなぁ いつも同じ答えをしてるのだろう)
一瞬そのままドアを閉めて出て行きたい誘惑に誘われましたが、(仕方ないじゃん)と思い、ドアに一番近い席に付きます。メニューを見ると、基本のビーフカレーが最初に写真入りで掲載されており、その下に目玉焼き付きの写真、次に目玉焼きとコロッケ付きの写真、次のページにトンかつ付きの写真、次にドライカレー、カレースパゲティー・・・なるほど。・・・・・で その後にナポリタン?あれ?なぽりたん?で、次のページで目をむきました。そこには同じく写真付きで
ラーメン
いつの間にか横に立っている配偶者のおばあちゃんの視線を気にしながら、出来るだけ普通っぽいカレーであるビーフカレーを注文しました。
店中を観察します。カレーは期待薄だけど、店のインテリアはいろいろ私に笑いかけてきます。こうなったら、少しでも元を取ろうとジロジロ店の中を見回します。店のあちこちにみやげ物や古びた写真が貼ってあります。目に付くのは奥のやたらにでかいスピーカーとマニアっぽい真空管のステレオ(真空管群がスピーカーの上にごろごろ並んでいます)しかもその横にグランドピアノ・・・・・ええっ???ピアノが・・・・しかもマイクも置いてるし、でふと横を見ると(あなたの歌をDVDにしませんか)のメモが貼っています。昔ジャズファン~今はカラオケ?どっちにしても見事にカレー専門店の期待は外れたようです。
その店の内装、インテリアのチェックも終えると、自然に目線は店主(70歳代おじいさん)に向かいます、何故って私が店に入ってからずうっと大きな声で隣のおばあさんに話かけています。張りのある声で、しかもしっかり聞き取れ、ひょっとしてわざと私に聞かせようとしているのかな?それともおばあさん耳が遠いのかな?なので話の内容ははっきりわかります。
教育論から現代社会の批判まで。只者じゃない雰囲気と話し方から、かなり我の強いやっかいな男性と判断できます。話の内容から私とは90%合わないだろうなと思っていましたが、一つだけ参考になる事を行っていて、おもわず手を叩いてあげたくなりました。今日のカレー屋ははずしたけれど、一つ勉強になってまあ良しとするか・・・・・ごちそう様でした。何?肝心のカレーですか?
レトルトでした。
注)この記事は2006年3月11日(旧)兎屋ブログからの転載です。