ツーリングに行こう②大丈夫? 2006

この”1957式”には沢山の思い出が詰まっています。別名:動くタイムマシン(古さからも言えますが別の意味で)と思っています。この”1957式”は1997年の夏に今まで乗っていた”1995式”新車ハーレーを売り、仲間とあちこち探し愛知県岡崎市のハーレー屋(旧車得意)で買ってきたものです。

1997年の夏日曜日、軽トラックを借り当時5歳の長男と一緒に片道3時間の道のりで岡崎市まで引き取りに行きました。その時の事を息子は今でも覚えていて、「オートバイ屋の前で1000円拾ったんだよなぁ」と今でも話しています。「オイオイ オートバイよりそっちか」長い道のり、閑になる息子にノートと鉛筆を持たせ落書きさせたり、PAで休憩しながらPA内の林をウロウロしながら蝉を探したりしていました。
帰りは私の方がウキウキで、運転しながら荷台に載せている”1957式”を振り返りつつニヤニヤし、息子に「このオートバイええやろ」を連発していました。まぁ途中で彼は寝てしまいましたがね。

その日かたこの”1957式”との格闘が始まりました。1957式の小康を得ると息子を乗せて富士山~富士宮市~富士市~富士川町~静岡市辺りを走るのですが、必ず途中で止まって、プラグをはずしてみたり、配線をたどって見たり、ポイントを磨いて見たりを繰返していました。

数年前に大修理をしました。その修理前辺りは調子がとても悪く、場合によっては1km毎に停まっていました。その時息子は「あぁまたかあ~」なんて言いながら、近くに小川があればザリガニを見に行ったり、公園があれば蝉を探しに行ったりしていました。そんな記憶があるのと、最近のミッションの調子が悪かったのを知ってるので、「お父さん、大丈夫だろうね」と念を押してきました。そういう時私は「あほか!このオートバイは壊れないんやど、壊れても必ず帰ってくるから大丈夫!」と言ってやりましたとも。

そうです。古いオートバイは壊れやすいと思われていますが、調子が悪くなる所が大体決まってるので、対策・対応を覚えておけば復活する確率が今時バイクより高いのです。尤も今時の日本製のバイクの故障率の低さは神業ですけどね。やっぱり日本のバイクは世界一です。でも天邪鬼の「兎屋」はそれに乗りたくないのです。だって面白くないですもの。性能が良いのと満足とは必ずしも同じでは有りませんね。

ここ10年ほどハーレー(アメリカ製バイク)は日本車レベルを目指して自社のバイク性能を上げてきましたが、上げれば上げるほど日本車の様になってしまい、ハーレーらしさが失われつつあります。私や仲間達から見れば皮肉に思えるこの動きですが、米国人は自国のバイク性能が上がるのを喜んでおり、ハーレーの日本車化には歓迎ムードです。

日本人の場合は、古き良きアメリカのイメージからハーレーを見ているのでハーレーの日本車化には寂しさを感じる人が多いのです。その証拠に、アメリカ人は古いハーレーを売って新車のハーレーに乗り換えるパターンなのですが、日本人の場合は私の様に、折角買った高年次のハーレーを売って、30~60年前のハーレーというよりも”ダビットソン”という響きが似合うような旧車系に乗り換える人が多いのです。その為世界中の旧車ハーレーが日本にドンドン集まって来ているという状況が10年ほど前から顕著になっています。合理的なアメリカ人の選択はその説明の通りわかるのですが、はやり日本人は不思議な感覚を持っていると思わざるを得ません。

さて東京へそろそろ出発しなければなりませんが、どのルートで行こうか?

注)この記事は2006年3月7日(旧)兎屋ブログからの転載です。