文化の日には 2005

文化の日かぁ~。 昨年ひょんな事から知り合った方のお宅(横浜市青葉区)にお呼ばれされました。

彼は私と同じ歳で設計の仕事をし代々木に事務所を構えてます。初めて合ったのは去年(2004年)の5月の夕方、突然兎屋に現れました。私は一人で店番をしていて、ちょうどお客さん対応をしてたので、彼は暫く横で待っていました。私も男性のお客さんは珍しいので、お客さん対応しつつも心の中で(ハハン・・中学校の美術の先生だな?)と思っていました。

お客さんもお帰りになり、彼と二人になった時、いきなり「代々木からやってきました!」なんて言うから、こちらも「中学校の先生じゃないのですか?」なんてトンチンカンな質問をしました。それがやり取りの初めです。

彼が当時設計を任されていたある財団の展示室のインテリ建材として紙バンドを使用したいと言うのが動機で、「紙バンド」で検索して来たようです。そして挨拶もそこそこに、私は紙バンド話からスタートし紙関係諸々の話をドンドンする、彼は建設業界の話から木材などの材料の話をドンドンするということで。どうやらお互い話好きだと言う事がスグに判ったのでしょう、遠慮無しに何でも質問し、答えるというやり取りを延々してました。

紙バンドをインテリアに使用する手法は時々見られますが、今回の仕事は広い展示室の壁全体をすべて紙バンドで覆うと言うものでした。私は「本当に紙バンドで良いんですか? 紙バンド以外にも建築に適した素材が有るでしょう」と何回も念を押しましたが、彼は「実はこの設計の話は3年前から有って、今日までいろいろ素材を探し、試してきたがどれも気に食わない、しかし今日現物を見、話をして気に入りました。もうコレしかない! コレにします!!」といって帰っていきました。店の外はもう真っ暗でした。

その後いろいろ有って、昨年暮れに紙バンドを納入しました。ビル立替の話とからんで、新しく展示室を作ると言う話だったので、納品はでかいビルの建設現場です。紙屋上がりの私としては全然なじみのないところです。納品しながら自分が建設関係者のような気分に成りました。

内装工事はスグに始まり、年明けに彼から「出来たよ~ 見に来て~」というお誘いを受けたので、家内と東京のど真ん中の新築ビルに行きました。展示室を見せてもらうと、壁一面 紙バンド 紙バンド 紙バンド 紙バンドです。 今回は強力クラフト紙バンドを使ったのですが、落ち着いた雰囲気が出ていて、「・・・・・」でした。 紙バンドは梱包用、手芸用 として あるいは インテリア系、家具系でわずかに使われているだけで、コレだけ大量に壁一面使われている事に感動しました。

仕事はこれで終わりましたが、ここから本題です。この「紙バンド→展示室の壁」という仕事を終えるまで何回と無く打ち合わせをして来ましたが、話はいつも脱線して、お互いの業界話や、身の上話、いつも考えている事、等など・・・。もちろん違う人間ですからそれぞれ話のネタは違いますが、話を続けてると奇妙に合うところが多いのに気が付きます。

歳が同じなので同じ時代気分とも思いますし、家族構成も近いのでそれは合ってるでしょう。仕事もサラリーマンやって、その業界で独立したと言う事も似てる環境です。しかしそれよりもっと似てる事。それは私も彼も熱いという事でした。言ってるネタは違うけど言ってる事は全く同じです。「あぁ~あ ここに居たよ熱いのが」と言うのが正直な感想で、自分を見てるようで時々ドキッとします。(あまり熱いのもどうかな?)なんて思ったりもします。彼をみて自分を振り返ってまた彼を見て。ワシ大丈夫か? なんて殊勝な気分に成ったりします。たぶん彼も心の中で一瞬そう感じてるのじゃないかな。

昨日は彼の奥さんの手料理でお昼をおいしく頂きました。彼の奥さんもウチの家内もおとなしいので、話は専ら彼と私です。これからの仕事の話と言うのがこの日の主題だったのですが、いつも話は大脱線するのでお構い無しです。脱線する事はわかっていたのであらかじめ前日に「明日は結論出ませんよ」と言って置きましたがね・・・。

正午にお邪魔してあっという間に18:00です。また外は真っ暗です。たぶん泊りなら夜中まで(あるいは朝まで)話してるでしょう。まだまだ話足りません。しかしこういう人と話してると余計な話をしなくて良いので疲れません。ツーカーで話の本質のところに持っていけるので、どんどん先に話は展開して行きます。仕事半分遊び半分の話ですが、そうやって打ち合わせしてると仕事が楽しくなりそうな気分にも成ります。帰り際に彼が「今日は面白かった!」と言いましたがわたしも心の中で(こっちも面白かったよ)と言ってました。 文化の日らしい過し方かな?・・・。 

注)この記事は2005年11月4日(旧)兎屋ブログからの転載です。

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