兎屋のカラー紙バンドがなぜ「100%再生パルプ、再生紙」から作られていないのかを、補足説明して置きます。紙バンド原紙の場合、クラフト紙バンド原紙と白紙バンド原紙とカラー紙バンド原紙の3種類ありますが、それらは四国や静岡地区の製紙地帯で、中小製紙メーカーで生産されています。静岡でも四国でもそれぞれ数社といったところでしょうか。

クラフトは、一部四国でも生産されて居ますが、ほとんど静岡地区での生産です。カラーの場合数年前までは静岡でも抄造されていましたが、その会社も今は無く、今では四国地区のみの抄造になっています。
静岡地区でカラー原紙が抄造されない原因に一つに、静岡の製紙の規模に有ります。日本の中心地付近に位置し、流通の発達した、割と都会に近いという地理的条件に恵まれているので、四国の製紙会社に比べて製紙マシンの規模が大きいということが言えるでしょう。大きいマシンになるほど効率は良いのですが、逆に細かい対応が出来ないという短所が有ります。カラー原紙は細かい対応が求められるので静岡の製紙には不向きな紙と言えるでしょう。
そこで四国地区の製紙会社のみがカラー原紙を抄造していると言う結果になったのですが、古紙発生地である都会から離れている為、良質の上白古紙(印刷のされていない古紙)等、適した古紙を安定して求める事が難しく、その為カラー紙バンドには100%再生パルプが使えないのです。(但し兎屋のカラー紙バンドのみ:他店のカラー紙バンドの中には100%再生パルプ、再生紙使用を謳っている物もあるのでお間違いなく)
また、四国は昔から紙の産地ということで、紙製品も多く作られていました。カラー紙バンドも昭和40年代に作られて、手芸用として販売されていましたが、その原紙は色付き紙テープ用の原紙とほぼ同じです。昔は客船が出港する時の必須アイテムとして紙テープが有りました。船が出て行った後、大量の紙テープが港に漂っていたのを覚えています。今ではあまり見受けられない風景ですが、製品としてのカラー紙テープも需要がほとんど無いようです。
さて、紙バンド用の紙を説明する為に、長々と「再生紙」に付いて書いて見ましたが。大体の流れはコレでお分かりになったかと思います。自分なりまとめてみて初めて気が付いた事も有りましたが、私としては再生紙の本来目指している、「地球に優しい」紙製品という事を念頭に、これからも進んで行こうと、今更ながら再認識しました。社会の流れに迎合した商品が溢れている昨今ですが、自分なりに、又、沢山の方々のお力を得ながら、次の時代の主役たる子ども達に誇れる商品を是非作って行きたいものです。少なくともモラル的に考えて間違いの無い製品をと、考えています。紙製品の場合は いかに地球にダメージが少ないかという事だと思います。
以上 再生紙のお話は終わりとしますが、ブログの手軽さで、随時文章の校正はしていく事にします。
この記事を書いた頃は、2008年正月以来の大手製紙会社の再生紙に関する不正は表に出ていませんでしたし、少なくとも大手製紙会社は大丈夫だろうと思っていましたが、事件が起こり、改めて読み返すと、まだまだ私も甘かったと思わざるを得ません。大体の所はいまでも合っていると思っていますが、王子製紙や日本製紙など軒並の製紙会社が偽っていた事に驚いていました。尚、私が書いた2004年暮れから2005年年明けまでの気分はそのまま書いているつもりですので、ここで訂正などはせず。文章はこのままにして置きます。2008年1月25日 兎屋 佐野
この「再生紙の話」その1からその9は2004~2005年頃に書いたブログ記事で、2020年1月にHPを更新したので、旧ブログから記事を移したものです。・・・・2020年4月2日(早くコロナウイルスから解放されますように・・・・)