再生紙の話(その8)

クラフトの紙バンドの原料がどういうものか、お話しましたが、白の紙バンドの原料に付いてもお話します。同じように厄介な問題がここにもあります。

白色の紙バンド原紙を抄造する場合は、原料としては古紙とパルプの2種類が有ります。製紙メーカーはその時々でどちらか、あるいは両方の原料を使って居ます。古紙の場合は牛乳パックがよく使われます。皆さんがスーパーなどに持ち寄って回収される牛乳パックも使えますが、ほとんどは牛乳パックの印刷工程で出る、裁断クズやヤレ品です。コレはクラフト袋の回収話のときにお話した流れと同じです。このような場合クラフト古紙もそうですが、牛乳パック古紙など特殊で限られた場所から発生する場合、これらを安定的に集めることは大変難しいことです。またそのルートはすでに発生元である紙の加工工場、古紙回収業者、製紙会社とで取り決めがなされています。

今 日本で流通している白の紙バンドや白い紙ひもにはこのような牛乳パック古紙が使われていることは間違い有りませんが、仮に古紙の回収量より沢山の製品出荷が有るとすれば、またはそのような特殊な古紙が手に入りにくい、地方の製紙工場の場合は、一部或いは全部を他の原料(パルプ)でまかなう場合も有ります。コレが白いクラフト紙バンドの原料です。

すでに今の段階で牛乳パック古紙は不足気味です。なぜならこの牛乳パックに使われる紙はとても品質の良い紙で、印刷前で且つ、ラミネート加工前の状態なら、その古紙はほとんどパルプ状態と言ってよいほどです。その為いろいろな用途に使えるので、再生紙を作りたい会社にとっては大変貴重なものです。そしてコレをいくらか混入するだけで、再生紙の名を得る事が簡単に出来ます。
次に 古紙に印刷が有ったり無かったり、或いは牛乳パックのように液体飲料用の紙には当然ラミネート加工が施されて居ますが、それらを脱墨(印刷インキや墨を取り除く事)したりラミネートを上手くはがすことが出来るかという事。さらには 脱墨してとれた墨やラミネートを廃棄しなければなりません。印刷されたものを脱墨しても100%きれいに印刷部を取り去ることは出来ないので、白の紙バンドを良く見たときに時々、赤色やみどり色などの小さいヒゲ状の物が確認出来、それは印刷の名残です。少なくとも何%かは印刷されていた古紙を使った証拠と言えます。

古紙を使うという事は何回も言いますが、尻尾の先まで管理出来るかという事です。紙に印刷の無い古紙なら脱墨設備は必要有りません。しかし一般に古紙には印刷が有るので、やはり脱墨設備に投資は必要です。脱墨された古紙はある程度綺麗になりますが、脱墨工程で抜かれたインキや墨はどうなるのかと言うと、古紙を脱墨したり洗ったりしている段階で、洗われて流された繊維と共に集められ燃やされて、灰になります。(製紙スラッジと呼ばれています)それを最終処分場で埋め立てます。しかし焼却設備の無い製紙工場の場合は濡れたままのカスを(製紙カスなどと呼ばれています)そのまま埋め立てています。

埋め立てる場合、製紙スラッジやカスは業者が回収しますが、重さで処理費が掛かるので、灰にして燃やした方が経費は安く済みます。その為燃やしているのです。このとき燃やす為のボイラーは連続的に発生する製紙スラッジを燃やすのですが、処理スピードを上げたいが為、又は燃料をケチって(ベルトコンベアーのスピードを上げたりして)燃やそうとすると、生乾き状態となり、煙突から青っぽい煙が出る羽目になります。本来スラッジは無害とされて居ますが、折角無害な物を燃やそうとしても生乾き状態で燃やせばやはり気分が悪い煙が出てしまいます。

古紙の脱墨に付いて言えば、脱墨設備が無い製紙工場は印刷された古紙は使えないという事です。(いや、理論的には使えますが製品として成り立つかどうか疑問がある製品しか抄造出来ないとおもいます)しかし古紙を使えないとは言っても再生紙を要求されれば製紙会社も作らなければなりません。少量の古紙を混ぜても再生紙と表示されるのが又、厄介な問題です。

よく「再生紙で作られています」という文句を目にしますが、皆さんは、あたかも100%古紙の紙で作ったかのような印象をもたれるのが普通だと思います。しかし実際は10%も古紙が入れば再生紙の名称を得る事が出来るのです。

正式にはやはり 古紙の配合率まで表示してこそ再生紙と言えるのではないか、そのあたりがあやふやな為、一般消費者の方がいつもわからなくされているのだと思います。大手製紙会社の紙は古紙の配合率が表示されていますが、紙バンド原紙などを抄造する中小製紙会社の中にはそこまで出来ないのが実情です。それも仕方がないといえますが、そうなればせめて販売に関わるところが、丁寧に対応して不足を補えばいいのではないでしょうか? 

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